急性膀胱炎

どんな病気?

女性に多い病気です。男性ではまれです。年齢を問わず罹りますが、若い方に多く見られます。

女性の外陰部にいる細菌が尿道から入って膀胱粘膜に付着、繁殖して起こります。

通常は菌が入っても膀胱の感染防御機構が働いて膀胱炎にはなりませんが、次の様な要因が重なると膀胱炎になります。

膀胱炎の要因は?

ストレス、疲れ、体調不良(風邪を引いた後など)、冷え症、尿を我慢しすぎた、1日の尿量が少ない、性行為など

どんな症状?

排尿痛、排尿時違和感、頻尿、残尿感、下腹部痛(違和感、鈍痛、張った感じなど)、血尿、混濁尿(白く濁っている)、尿臭が強い

検査は?

尿検査と尿の細菌培養検査で診断します。

 トイレで紙コップに尿を採ってきていただきます。
 当院では尿道から管を入れて尿を採ることはしていません。

尿検査: 顕微鏡で見て白血球(炎症細胞)が増えていれば膀胱炎と診断します。結果は直ぐに出ます。

尿細菌培養検査: 細菌の種類と抗生物質の効き具合を確認します。結果は3-4日かかります。

細菌の種類としては、大腸の中にいる大腸菌、腸球菌や、皮膚・粘膜にいるブドウ状球菌、連鎖球菌などがよく見られます。クラミジア(性感染)のこともあり、クラミジア膀胱炎が疑わしい時は尿中クラミジアのDNA検査をします。
まれに細菌が証明されないこともあります。

超音波検査(エコー): 必要に応じて腎臓、膀胱に異常がないか確認します。
膀胱炎を繰り返す時、血尿が強い時は他に病気が隠れていないかどうか検査が必要です。

治療は?

抗生物質内服3〜5日間。注射は必要ありません。

通常1〜2日間で症状はよくなり、3〜5日間の治療で治癒します。

症状がよくなっても、もう一度尿検査を行って治癒を確認することが必要です。菌の種類によっては抗生剤が効き辛いこともあり、薬の種類を変えることもあります。

治療期間:初回と2回目の来院で済むことがほとんどです。

予防方法は?

1) トイレを我慢しすぎないように。但し、ある程度の我慢は問題ありません。

2) いつも水分を多めに取る。特に1日数回しかトイレに行かない方は注意が必要です。

3) 陰部を清潔に保つ。排尿・排便後は前から後ろに向けて拭きましょう。ウオッシュレットは良いですが、ビデの使いすぎは逆効果です。

4) 性行為の後は早めに排尿する。性行為時に尿道から菌が入ることがあります。

5) 下半身を冷やさないように。

6) 体調管理に気をつける。ストレス、疲れが貯まる、風邪を引くなどで体の抵抗力が弱くなると、細菌が付着して繁殖しやすくなります。

7) 欧米ではクランベリジュースが膀胱炎の予防によいと言われています。

急性膀胱炎についての院長のコメント

*1回かかると膀胱炎はくせになる?
くせになることはありませんが、膀胱炎になる要因があると繰り返すことがあります。何度も繰り返す時は他に病気が隠れていないか詳しい検査が必要です。

*急性膀胱炎治療後も症状が残る
尿検査では正常になっているのに残尿感、違和感が残ることがあります。通常は飲水を多くして経過観察することで自然に良くなりますが、症状が強いような時は漢方薬が効果的です。

*膀胱炎症状はあっても膀胱炎でないこともある
頻尿、残尿感、下腹部の違和感など膀胱炎症状があるのに尿検査では異常なく膀胱炎ではないことがあります。膀胱の他の病気(腫瘍、結石、間質性膀胱炎、排尿障害など)、婦人科系(子宮筋腫、卵巣腫瘍、膣炎など)、消化器系(便秘症、大腸の病気など)、冷え症など骨盤内の微少循環障害(漢方医学では於血という)が原因のこともあります。

*膀胱炎の治療は泌尿器科が良い?
近くに泌尿器科がなくて内科や婦人科で治療を受けることがあると思いますが、なかなか良くならない、膀胱炎を繰り返す、血尿が出た場合は泌尿器科での診察を勧めます。最近は、若い方は直接泌尿器科を受診する方が多くなっていますが、年配の女性には泌尿器科のハードルがまだ高いようです。

*男性にも膀胱炎はある?
男性ではまれです。男性の膀胱炎症状(排尿痛、頻尿、残尿感など)は前立腺炎や尿道炎が疑われます。男性の膀胱炎では何か他の病気(前立腺、膀胱、直腸などの病気)が隠れていることがあるので詳しい検査が必要です。